得意ではない人

「心底嫌いな訳では無いが、得意ではない」人が、あなたの周りにもいるだろうか。

 

僕にはいる。同じ会社の、違う支店の、ひとつ上の先輩である。

 

配属の店舗は違えど、住んでいる地域が近所ということもあり、入社当時はよく飲みに出ていた。お互いお金が無いので、コンビニで缶ビールを買って公園のブランコに座りながら「ビアガーデンや!」と叫んでみたり、先輩が常連のお店に連れていってもらって、裏メニューの大トロ握りを食べさせてもらったりした。これが本当に美味い。

 

字面だけ見れば良好な先輩との関係に見える。しかし、僕はいつもモヤモヤを抱えながら接している。

 

 

 

関西の人は「イキる」ことを嫌う。正確な意味はよく分からないが、ダサいカッコのつけ方、とでも言うべきか。関東の人にはこの感覚をなんと呼ぶのだろう。

 

その先輩は、とにかく「イキる」のである。

 

職場では本当に大人しくしているそうだが、僕の前ではとにかく「イキる」。

 

「悪させなあかんなあ!」

「俺らほんまキチ〇イやしな!」

「いつもはハメ外す俺が、今日は真面目にいくわ!」

 

彼にとっての「悪さ」は、カラオケに入って意味もなく叫ぶことだし、彼なりの「キチ〇イ」は、タクシー乗り場まで行ってからカラオケに行くことだし、彼にとって「ハメ外す」は、ビールが198円の居酒屋で時間を潰すことである。

 

カラオケという文化がもたらした弊害である。

 

 

高校時代からゴルフ部に所属していたこともあり、周りの人達はお金持ちのようだ(本人の実家もお金持ちである)。そういった人たちと過ごしてきたせいか、どこか周りの人を見下している言動がよく見受けられる。

 

「いや、先輩も大したことないっすよ」

 

と喉元まで出かかった言葉を何度飲み込んだことだろうか。

 

「○○(その先輩の名前)会」と称して1度だけ開催された飲み会は、新入社員の参加拒否により2度目が訪れることはもうない。ちなみにその「○○会」は割り勘制である。

 

そんな先輩に対して、職場では大人しくしているから、僕の前でぐらいイキらせてあげようか、と心を広く持つようにしている。社会人歴1年半、成長である。

 

ここまで書いたが、たぶん、その先輩も「寂しい」人なのだろう、とも思う。職場では大人しくしているというのが、僕には引っかかる。浮いているのだろう、同じ店舗の後輩と付き合っていることも影響しているのかもしれない。社内恋愛はよっぽどでなければ冷めた目で見られる。営業成績もめちゃくちゃいいという訳では無い。

思ったようにいかない色々が重なって、でもぶつける相手も居なくて、寂しくて。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで仕方なく相手をしている先輩と、宿泊研修が被ってしまい、夜も連れ回され、1日一緒に過ごして気が狂いそうになったので、文章にしたためておきます。